今回は染色技法の一つ「絞り」についてご紹介します。
後半では、シュハリスキョウトで扱っている絞りの着物もご紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください。
「絞り」とは
「絞り」とは「絞り染め」の略称です。
日本で最も古い染色技法と言われており、奈良時代(6~7世紀)には高度な絞りの技術が広まっていました。
一口に「絞り」と言っても、生地を糸で縛ったり、縫ったり、板で挟んだり、折ったりなど様々な技法があります。
生地から染色剤を絞り出すのではなく、布にあえて粒やしわを作ることで防染(布を染めないこと)を図っているのです。
代表的な絞り2選
今回は代表的な絞りを2つご紹介します。
1)京鹿の子
1つ目は「京鹿の子」です。正式名称は「疋田鹿の子絞り染め」といいます。
子鹿の斑点に似た模様を特徴としており、京都市の伝統工芸品に指定されています。
京鹿の子は、布地に下絵を描き、絵に沿って絞り括りを施します。
布を糸で括ることで、括られた部分は染色されず、独特の模様が生まれるのです。
括られた部分は「括り粒」という小さな粒になり、緻密な美しさを表現します。
また、染め上がった後にはしわが残り、趣のある凹凸ができます。
2)辻が花
2つ目は「辻が花」です。「辻ヶ花染」とも呼びます。
鳥や花などの色彩豊かな模様が特徴です。
室町時代末期から桃山時代に流行した絞りで、絞りによって絵模様を生み出す「絵絞り」に、描き絵・刺繍・摺箔(金や銀の箔を密着させること)を施しています。
縫い締め絞り、帽子絞り、巻上げ絞りなど様々な技法を合わせることで、複雑な模様が表現されています。
絞りの着物の良さ
絞りの着物には大きく分けて3つの良さがあります。
1)着心地の良さ
絞り染めの生地は厚みがあり、柔らかい肌触りとなっています。
厚みがあると聞くと重さが気になりますが、絞りの着物は凹凸があり空気を含んでいるため、あまり重くありません。
着崩れもしにくく、長時間の着用にもおすすめです。
2)絞りの技法そのものが個性的
絞りの技法そのものに歴史があり、あえて染めないことで模様を生むという個性があります。
特に括りの緻密さと独特の凹凸は、他に例を見ない特徴です。
絞りの着物の中でも、総絞りの着物は群を抜いて希少です。
3)近目でも遠目でも綺麗
絞りの着物を近くで見ると、緻密な括りや繊細な染め具合がよく分かります。
同時に、括り粒・凹凸・しわといった絞りならではの質感も見て取れます。
そして、細部までこだわった模様は遠くからでも人々の目を引きます。
職人の手仕事による絞りの着物は、近くで見ても遠くから見ても美しい着物です。
シュハリスキョウトの絞りの着物
シュハリスキョウトの絞りの着物を6点ご紹介します。
1)総絞り艶やか牡丹【FR-41】
青色が鮮やかな総絞りの着物です。
文様は品よく華やかさを添える牡丹。
単色の着物だからこそ出せる深みがあります。
成人式用・卒業式用の両方をご用意しています。
2)灰桃総絞り【FR-195HA】
灰色と桃色の鹿の子がかわいらしい着物です。
淡い色の配色が、あどけなさと品のバランスを絶妙に保っています。
きらりと光る金色の衿もポイント。
3)赤絞りに花熨斗目【FR-147】
赤を基調とした着物に色とりどりの熨斗目模様が描かれています。
鮮やかな色味に緻密な鹿の子模様がはっきりと浮かびあがり、遠くからでも絞りの美しさが伝わります。
まさに晴れの日にふさわしい一枚です。
4)鹿の子絞りと辻が花【FR-264HA】
鹿の子絞り、下り藤絞り、辻が花の鳳凰や花を施しています。
伝統的な絞りの技術を組み合わせており、古風な華やかさがあります。
袴は白色と淡い紫色もご用意しています。
5)鮮やか吉祥絞り【FR-168】
青海波、亀甲、七宝などの吉祥文様を総絞りで描いています。
カラフルな配色が目を引く着物です。
古典的な文様と現代的な色味が合わさり、着る人の個性を引き立たせます。
6)青白磁の丸菊絞り【FR-266HA】
白を基調とした生地に水色で重陽菊模様をあしらっています。
控えめな華やかさと凛とした雰囲気は清楚そのもの。
袴は緑色とピンクもご用意しています。
結び
いかがでしたか?
絞りの着物には長い歴史と際立った特徴があり、一目でその独特な魅力が伝わります。
晴れの日の特別な一枚を、ぜひシュハリスキョウトでどうぞ。
◆参考文献
・京都絞り工芸館「絞りの歴史」
https://www.shibori.jp/history
・京鹿の子絞振興協同組合「京鹿の子絞の特徴」
https://kyokanoko-shibori.or.jp/features/
・辻が花染め工房 絵絞庵「辻が花について」
http://www.tsujigahana.com/tsujigahana/